ドバイ大雨災害体験記①   

UAE
K.Tsumori

こんにちは、津守京子です。UAEドバイに移住し、30年以上イスラム圏でビジネスに携わってきました。この経験を活かし、日本企業がイスラム市場で成功するための架け橋となりたいと思っています。ビジネスに関するサポートが必要な方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

専門分野:
日本と中東市場の貿易ビジネス
通訳・翻訳、ビジネスマナー
日本企業の中東市場進出支援

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ドバイ空港48時間

日本でもニュースになったそうですが、4月にUAE歴史始まって以来の大雨が降り、都市機能がマヒしてしまいました。私はその日、ちょうど仕事で近郊都市に赴くべく、空港へ向かったのでした。

その前日、知人に「明日から雨で、もう学校からはリモート授業って通達来てたよ。」と聞いて、そっか~、また雨かと思った程度。気候は年間通じて晴れ!なので天気予報を確認する習慣は無い。

私の自宅は閑静な住宅街であるが、平坦に見えてもなぜか水はけが悪く、少しの雨で大きな池が出来てタクシーが来なくなるので、早めにタクシーを呼ぼう、と思ったのであった。

翌日、早朝は快晴であったが徐々に雲が出てきて8時頃に雨が降り出した。外に出てみると「ヤバイ!」状態。

慌ててタクシーを呼んだ。空港へ行く前にシャワー、と思ったがそんな場合ではない。慌ててパッキングしてタクシーを呼んだが、時すでに遅し。タクシーは全く捕まらなかった。

そうだ!リムジンを呼ぼう!ドバイは何でもお金基準でランキングされている。リムジンは通常のタクシーの4倍の価格。でも、客が少ないのですぐ来るのだ。一発で繋がる。当地のタクシー配車アプリは車の位置も示してくれる。近所にリムジンはいた。早速電話して、どうしても空港に行かないとなので、チップ弾むから必ず来て、と懇願。リムジンに乗って空港へ向かうと、既に洪水が始まっていた。

リムジンのパキスタン人運転手が真っ赤に染まったアプリを見せてくれた。「今、タクシーは絶対見つからないよ。私もボスに今日はもう仕事しなくて良いから家に帰れと言われた。でも何となく気になってあなたの電話受けたのですよ。」と。 その時、既に主要道路のシェイクザイード大通りは冠水して通行止めだったらしい。運転手は上手く冠水道路を迂回し、無事空港へ到着。道中、私は運転手の勇気ある行動が一人の人間を救った、あなたは偉大だ、あなたとあなたのご家族に神のご加護があるだろう、と大げさに褒めちぎったが、本心である。 通常料金のほぼ5倍。そして私はこの料金の半分近いチップを払った。

無事、チェックインカウンターへ。 通常の20%程度しか列が無く、すぐにチェックイン終了。あとから考えれば、大雨で空港に辿り着けなかった人が大勢いたのだろうが、この時点でも私はこの豪雨がそんなにオオゴトになるとは思ってもいなかった。

登場時間は1時間遅れ。まあ、そういう事もあるだろう、と思っていた。そして私は機内へ。椅子に座って離陸を待つけど、何も起きない。外を見れば豪雨で何も見えない。飛行機の窓は小さいし、空港の滑走路しか見えない。

そのうち、うとうと眠ってしまい目が覚めたが、驚いた事に私はなだドバイ空港であった。幸運にも私は3列の窓際で残る2席は無人であった。 そのうち、無料の暖かい飲み物サービスが始まる。うーん。どういう事だ? 機内だしWIFIも無いし、何が起きてるか全く分からない。

そして機内に入ってから6時間後、ぬあんと「キャンセルになりました!」と通告されたのである。とりあえず機内から外に出ろ、と。航空会社の係員の指示に従ってくれ、と。 しかし、航空会社の係員は現れる事は無かったのである。

空港のターミナルにいて、外の様子も良く分からない。しかし、出張には行かないと。長時間経過していたため、携帯もパソコンもバッテリーが残りわずかに。そこでコーヒーショップに移動して、そこで充電開始。このコーヒーショップは各席にチャージャーがあるが、みんな故障しており、使用可能なのは1個だけ。そこの席の人にお願いしてチャージ開始。

で、次の飛行機を予約したら、翌日早朝7時発の予約が取れたのである。この時点で、予約が取れた=飛行機に乗れる、を信じて疑わなかった。 チェックインで預けた荷物を受け取る必要があるため、一旦、イミグレーションを通って外に出る事にした。午後1時過ぎの事である。

到着ゲートのイミグレに向かいながら、あちこちにある雨漏り受けのバケツを見て、だんだん豪雨の被害が甚大である事を感じていった。

私が通過したのは午前1時過ぎ。豪雨のピークは午後6時ころだったらしく、随分と漏水は処理されていたが、あちこちに雨漏りの凄さを感じさせるものがあった。飾り天井を漏水が突き破って落下したようだ。

私は新しい便を同じ航空会社で予約したので、再びターミナル1のチェックインカウンターへ行こうと思ったら。

歩く隙間もないほどの人とモノ! ちょっとした隙間には、もれなく人が横たわっていた。


この大荷物乗客はアフリカ便の人。アフリカ便ってチェックインの重量が90キロまで、とか聞いたことある。とにかくみんな大荷物。そして列を作らないので大カオス状態。


後で聞いた事だが、ドバイは停電にも見舞われたらしい。 空港の表示板も全く更新されておらず、この撮影したのが午前3時近くで表示板は12時前で停止。

私はやっと見つけた小さなスペースでうずくまっていた。エアコンは物凄く冷たかった。隣にいたスーダン人医師と雑談するようになった。医師はスエーデンに移民して国籍取得したそうだ。カタール航空でドーハ経由でスエーデンに帰る予定だったそうだ。コーヒーやお菓子、簡単な朝食なんかを購入してきてご馳走してくれた。このカオスの中でカウンターは閉まったまま、係員も誰もいない。情報も全く無し。
夜明けごろ、医師は「こりゃ、空港が機能してない。私は車で来たので家に帰る。」との事で、私には「エミレーツ航空は稼働してるらしいから、そっちを予約しなさい」と言うのでエミレーツを予約。その日は満席で一番早い便が翌日の早朝便。

エミレーツはドバイの航空会社なので専用ターミナルを持っている。私が最初に予約したのはいつも使用してるサウジの航空会社でターミナル1に他の航空会社と共に発着している。エミレーツは航空券も高めだが、専用ターミナルは新しく豪華で心地よい。何でもお金でランキングのドバイである。 ターミナル1と3はメトロで移動可能。

私はエミレーツ便の予約も済み、メトロに乗って自宅に戻り少し休んでから明日の早朝便で出張、と思ってメトロの駅へ向かう。そこで駅員が「この電車は隣の駅どまりです。その先は運休で復旧の見込みは今は分かりません。」

マジ? 早朝という事もあって知人に電話して街の事情を聞くわけにもいかない。私の家は冠水したエリアの向こうなので、多分、タクシーでは行けない。メトロで近所まで行けば、タクシーで家に帰れると思ったのである。

しょうがない。メトロでエミレーツのターミナルに行き、チェックインしてターミナルで一夜を過ごしかないと思った。そしてターミナル3へ。

ああ。あまり変わらないじゃないか。人だらけ。チェックインカウンター前は長蛇の列。ボーディングパス保持者優先、と係員がアナウンスしている。そして徐々にカウンターが閉鎖されていった。

タクシー待ちの行列。あまり動かない。そしてこの行列は建物の中までグルグル続いている。

この列にならんでも数時間はかかるだろう。いははや困ったものである。しかし、どうにもできませぬ。エミレーツ航空は呑気に? チェックインの時間だよ、なんてメッセージを送ってくるが、カウンターは全部閉鎖されているのである。

なんとか椅子を確保して座ってぼーっとしていると、何となく周囲の人と話すようになる。私の周囲は米国人と英国人の観光客で情報の少なさに文句を言っていた。 時々、ウワサ話が入ってくる。カウンター閉鎖した理由は、イミグレ済ませて空港内にいる人が2万人、との事。そしてチェックインカウンター前の人、私のような人が1万人、と。 内部の人込みがカオスで、まずその人たちを出発させてから、なんだそうだ。

深夜12時頃、掲示板に告知。なんとカウンターが開くのは朝の7時と。私の便の出る時間。こんだけ人がいたら、こりゃ無理と観念して出張を諦める事に。

メトロの始発で、メトロが動く最大の所まで行き、そこからタクシーで自宅へ。やっと2日ぶりにシャワーが、、、と思ったら。なんと我が家は停電していた。メンテナンスに電話したら、電力庁の部分の問題で何もできないと。電力庁は電話に出ないので困ってると。
マジですか?

停電。啞然としながら、そういやバッテリーバンクがあったと思いだし、なんとか携帯の電電確保。しかし、あちこち電話したため携帯のクレジットが。近所のよろず屋に携帯のクレジットを購入に出かけたら。

とんでもない大渋滞。よろず屋の人も主要道路が通行止めなんで、朝から大渋滞だよ、と。停電で生活できないので、友人宅に避難を決めたが、これではタクシー呼べないじゃん。家の近くの食堂に行ったら、今朝から電気が来た、というのでそこで2日ぶりの食事をしながらネットに繋いで関係各所に連絡。

冠水した道路を無理やり走行すると、ナンバープレートが取れる。そんなに強く固定していない様子で、あちこちでナンバープレートを目撃したのであった。

深夜、交通量が減った時点でやっとこさ友人宅へ避難。私のドバイ空港(ほぼ)48時間はこうして終了。未だに航空券の払い戻しが終わってないので、明日、事務所に行く予定です。メールしても、航空会社のメールボックスが一杯です、でメールが戻ってきちゃう。

エミレーツ航空は大企業なので手早く払い戻しが終了しました。でも手数料1500円くらい徴収されました。

この豪雨、場所によっては本当にスゴイ被害が出た模様です。メトロも復旧していない駅もあって、近所の駅はその一つです。 私はドバイに来て、初めて「傘」を購入しました。今まで持ってなかったけど、これから雨が多くなるのかな、と思いまして。

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